打ち上げ花火





ちょっとでも良い場所で

君に打ち上げ花火を見せたいから、と、

"花火を見ましょう"と宣伝していた

フレンチレストランに行きました。

でも窓の少ない、マンションの１階の店だった。

どうなるんだろ、あとで屋上にでも上がるんだろうか、と

ハラハラで、味なんかちっとも。

デザートを食べ終わったら、ソムリエの人が

「そろそろ打ち上げでございます。」って…。

アポロみたいじゃん！と思って、コーヒー噴出しそうになった。

やはり屋上に導かれると、そのマンションの住人なのかな、

もうたくさんの人がいたね。缶ビール片手に浴衣の男性が多かった。

今までの おフランスは、どんな雰囲気づくりだったのかと苦笑。

そしてスターマインから夜空が飾られ始めた。

真っ青に宇宙が輝いて、その瞬間の君の表情は

なんというか、この世のものとは思えないほど綺麗だったよ。

打ち上げ花火が始まって、本当に、僕たちの目の前で爆発していた。

花火の砕けた小さな小さな灰が、君の瞳に入ってしまったとき、

僕は、医学の術が無いから、というよりも、

もう、君が素敵すぎて素敵すぎて、顔を見ることができなかったんだ。

彩られる夏の夜空、と　あの音。

手を握ることはできないような、そんな関係だったけど、

あの夜のことは一生忘れません。そのためにここに詩を書いたの。

これ詩なんだよ！

それらが、大事な夏を、脳裏に焼き付ける力は、

科学では、 きっと証明できないけれど、

打ち上げ花火は恋だ。