現実的 髪の毛を　七色に染める、　 派手な看板の店の前に、 こそこそとやってきた　清掃員らしき　 老齢の女性が、 排水溝に汚水を　棄てている。 うだる昼下がりの　アスファルト。 その日の仕事が終わるまで、　 まだ5時間もあるだろうか。 干からびた　女性の手の甲に、 通りかかった若い女の　ミニスカートの影が、 一瞬落ちた。 その天地が　衝動的に逆転して、 貧富の世界も　老若の世界も　入れ替わったら、 面白いのに、 と思う。 然るべくして　成る世界に、　　 真夏の厭な臭いが　たちこめる。